バックナンバー(1997.9)


 

(1997.9.1掲載)

サラリーマン化したプロゴルファー

 KBCの最終日は、いやぁ、快調なスタートしたんだけどねぇ。バーディ・パー・バーディで出てって、これは一挙に12、3アンダーまで伸ばせるぞと思ったら、なーんてことない5番のミドルでね、ど真ん中にティーショット打って、残り70ヤードぐらいなの、ピンまで。さあ寄せてくださいっていうようなアプローチなんだよ。そっからただ乗っただけで20メートルぐらい残っちゃったのね。で、ただのパー。

 次のロングでは2オンして3パットしてパーになっちゃって、なんかそっから急にムード悪くなって、9番のロングは3日間バーディ・バーディ・イーグルできてたホールなんだけど、今日はボギーなんだ、そこで。

 5番で切っちゃったね、流れを。完全に打ち方がっていうかね、なんかこう、顔だけピンに向いていっちゃったっていう感じかな。子供がおいしい物を食べるのに待ってられなくて、テーブルの上の物をがちゃがちゃにしちゃったっていうか(苦笑)

 ただ今回はね、やっぱりちょっとスイングのリズムが悪かったね。バックスイングがちょっとね、わからなかったっていうのかな。バックスイングが思ったよりスムーズに上がりにくかったっていうのか。上げる方向がちょっとわかりにくかったっていうのかな。結局トータル6アンダーで、9位。

 結局ジャンボが独走したねぇ。独走したけどなんか、うーん、なんかつまらないねぇ。今回、いろんなコース関係者の人とも話したんだけど、ちょっと興味深い話があったんだ。その話っていうのは、今から20年前、あるいは十何年前ぐらいまでのほうが、ゴルフもおもしろかったっていうわけだ。ゴルフのトーナメントが。十何年前っていうとAONの入口みたいな時だね。

 それはどうしてかっていうのは、本人たちもあまりよくわからないんだけど、あの当時のほうがギラギラしてたって言うんだよね、みんな。

 話を総合すると、うまく表現できないんだけど、なんかこうサラリーマン化したゴルファーが多くなっちゃったっていうのかな。このぐらい稼げればいいか、っていうようなプロが多くなっちゃった。言い換えればゴルフコースで時間とか、タイミングだとか、いろんな間の取り方っていうのが、見てる者をドキドキさせてくれないというか。そういうふうに感じるっていうふうなことを言ってた人がいたね。

 まあ、それがどこに原因があるのかわからないけどね。確かに見てて、あっ、このプロ見てみたいな、このプロについていきたいなっていうふうに思わせるプロっていうのかな、あるいはこのプロをずっと応援してみたいなとか、あるいは何年っていうサイクルで応援してこうっていうプロが確かに少なくなったかも知れないね。

 それは時代の流れなのか、日本っていうものが変わってしまったのか、そういう社会現象の1つなのかわからないけどね。


(1997.9.2掲載)

なぜTN87のキャビティなのか

 ミズノプロの復活を目指してクラブテストをやってるわけだけど、そんな中でも、やっぱりTN87っていうのは、いかんともしがたいほど名器なんだね。やはり名前を変えようがね、例えばMP29だとかあるいはヨーロッパモデルのツアープロだとかそういう呼び方をいろいろ変えようが、現実にはTN87だから、それを越えるクラブっていうのは非常に難しいよね。

 ただし、作った本人から言わせれば、開発した本人から言わせてもらえれば、あれはドライバーで言えば370グラムから380グラムのパーシモンのウッドを基本として使う時代に開発されたもんだよね。

 ところが今は340グラム台から前後プラスマイナス10、言い換えれば335から355グラムぐらいの間を使うのが、プロゴルファーのドライバーの1つの重量の目安なんだけど、そのドライバー設定でいくと、TN87はやはりちょっと苦しいんだ。

 だからタイガーみたいに、ドライバー、スプーンにスチールを使う人間にはいいよね。アメリカはまだスチールのドライバー、スプーンを使う選手が多いから、そんなに時代遅れのモデルにはなってないんだけど、ウッドがカーボンシャフトで、チタンヘッドで、重量がぐっと軽くなってきた場合に、TN87との違和感っていうのが出てくる。

 ドライバーは軽く振れる。でもアイアンが重たい。そういう現象が起こってしまうから、やはりドライバーで350グラム台を使う人間にはいまだにTN87が打てるかも知れないけど、340グラム台というふうにドライバーが軽くなってきた場合にはちょっとTN87は厳しいかなと。

 ということでTN87のいいメリットを残しながら、その340グラム台、あるいはアマチュアの人からすると300とか320グラム台のドライバーを振るとしたら、TN87のキャビティ、しかも大きさもちょっと大きくなる。それからカーボンシャフト装着。そういうことも考えなければ対応できないと思う。現実に自分達でも350グラム台をいよいよ切ろうとしてるドライバーを使おうとしてるんだよね。

 ジャンボなんかでももう340グラム台を切ってるんじゃないかな。ということは軽いから早く振れる。そうなってきた場合に、ドライバー1本だけよくても、他のクラブが今度は、それに13本の流れだから、パターを除いて。13本の流れで行くと、やはりちょっと違和感が出てくる。

 だからアイアンも必然的にカーボンにしたり、ちょっと大きめのヘッドにしていったり、キャビティの形状を変えていったり、いろいろこう工夫をしてるんだけど、やはりミズノの場合ももっとやさしく強いクラブを作っていかなきゃいけない。そういう必然性には迫られてることは迫られてるんだ。


(1997.9.3掲載)

来年には出したいね

 TN87って、使えなくても持ってるって人がいるね。もし持ってる人は大事にしてたほうがいいかも知れないね。

 今年の春先にテストしてたクラブ、あの21世紀のクラブっていうコンセプトで作ってたやつね。あれのキャビティ形状も非常にいい点が多かったんだけど、ちょっと問題点が発生してきたんだ。

 その発生してきたポイントっていうのは、キャビティの重心位置とスイートスポットの誤差がちょっとあって、要するにこないだ話したように、当たりと現実の距離を変えてしまうというところ。

 ナイスショットしたボールが10ヤードオーバーしたり10ヤードショートしてる。じゃあミスショットしなきゃ寄らないじゃないか、そういうようなことを前に書いたと思うんだけど、そういう現象はなぜ出てくるのか、考えられる点っていうのは重心位置とスイートスポットの位置がちょっと違いすぎるんじゃないかという点で、なんていうか疑問符が出てしまったっていうのかな。

 これは先行していくモデルと、次に追いかけるモデルがあるから、当然開発してく段階で1種類で開発してくわけじゃないんだよね。だから先行モデルがぽしゃったということになった。

 で、最初に作ってきた物というのは斬新というか、まったく新しい物だったんだけど、それじゃなくてもう1つ後発モデルの、非常にオーソドックスっていうのかな、オーソドックスの中でさっき言ったような問題点をクリアーしてみよう、ってことになった。それがTN87のフルキャビティなんだ。

 ドライバーからくる重量、いろんな重量とのバランスを考えた場合の問題点をクリアーしたクラブっていうふうになってくるんだけど、それを後発として発想はしてたことはしてたんだ。それがいよいよ実験段階になったわけだね。前半がぽしゃってくれなかったら、もうちょっと後になってたかも知れないね。

 そういえば最近ミズノプロの新しいのが出たよね。後ろがえぐれてて丸いのがあって、ビッグMって入ってるやつ。あれはあれでいいクラブなんだけど、自分自身は好きじゃないっていうか、僕好みじゃないって感じ。早くミズノプロというブランドを重視したやつを出したいっていうことで、やはりあれを出していったんだろうね。

 いまテストしてるクラブは、来年には出したいと思うんだけどね。今回はTN87で養ったいろんな物があるから、そんなに極端には困らないと思うんだ。


(1997.9.4掲載)

50点ぐらいだね

 8月のテストの前にも書いたけど、TN87のフルキャビティの、そのちょっとクラブのヘッドも大きくなってきたやつを、実験で打つのがちょっと楽しみだったんだ。

 ところが、そのテスト、それが思ったよりよくなかったんだよ。ヘッド形状がいまいちTN87に似てないんだ。で、今作り直してて、来週の月曜日か火曜日に手に入るんだ。たぶん今度はいいと思う。

 でもよくないって言ってもね、フェースメッキが違ったりして、打球感その物は非常にいいんだ。距離自体もちゃんと行ってくれるし。

 まあ、今回一応ダメだったんだけど、そのアイアンを持って、試合でテストしたんだ。KBCでね。

 いままでのTN87っていうのはロフトを正確に言うと、5番アイアンで27度のロフトなんだよね。ところが今度のやつは29度ある。ちょっと寝てるの。まあほんとに厳密に言えば、僕が使ってるやつっていうのは27.5以上あるんだけど、だから正味で言うと1度ちょっとなんだけどね。1度ちょっとなんだけどやっぱり、その若干の違いっていうのかな、そういうのがあるんだよね。

 今度のクラブっていうのは、考え方としてピッチングウェッジを基準にしたんだ。ピッチングウェッジを49度に作った場合に、全体としてはどういうふうになるんだ、と。でPSが54度。サンドウェッジが59度。それからピッチングから上を4度ずつ上げていってね、で5番がわかりやすく言うと29度になってるから、ロングアイアンが今度は核になってきてるというかな。

 で、その代わり1番アイアン作って、1番アイアンがまたちょっと、これ特別な、なんていうか、その流れで作った1番アイアンじゃなくて、独特の発想の1番だから、今回はすごく役立ったけど、けっこう250ヤードぐらい飛んでくよ。なかなかいい1番アイアンだったよ。1番で5回ティーショット打って、1発だけセミラフで、あとはいいところだったね。ロングホールのセカンドでもけっこう活躍したし。

 今回のテストは、まあ50ぐらいしかあげられないかな。よかった点は、メッキがよかったっていうことと、ロフト自体がいい仕上がりになってたこと。ただ形状自体がTN87に似てないから、形状自体はもっと変えてくれなきゃ困るなっていう感じだね。全体的にいうとちょっとごつく、四角くなっちゃってるから。

 話変わるけど、T-ZOIDってけっこういいよ。けっこう飛ぶしね。アイアンもいいよ。まあ、ちょっと見る価値はあると思うよ。


(1997.9.5掲載)

気持ちとターゲットの差

 いまボールの広告に出てるんだけど、あの写真は中日クラウンズの初日の午後に撮ったんだ。ノーマンと並んでる写真なんだけど、別々に撮って合成したわけじゃないんだ。今年来たじゃない、ノーマン。例の問題の時(笑) あの時に撮った写真を使ってるんだ。

 こないだもノーマンの話をしたけど、彼のことをもう少し詳しく言うと、きもーちこうなんていうのかな、弱いって言ったら変だけど、例えば去年優勝しそうだったじゃない、マスターズで。あれでファルドがステディなゴルフでどんどんどんどん1打1打、また1打また1打って近づいてきたよね。

 あの時に8番ホールが1つのターニングポイントになってたと思うんだけど、2オンしそうなところから左のマウンドの下に落として、確かボギーかなんかにしてしまったんじゃなかったかなぁ。それでぐっと流れが変わったんだけど、そこで本当はあの位置からだとやっぱりグリーンの右目を狙ってくるはずなんだよね。

 それを本当は気持ちでは右目を狙ってるはずなんだけど、やはり悪いイメージを払拭したいっていうか、拭いさりたいから、スイングターゲットがピンを向いちゃう。そうすると自分の気持ちの狙いとスイングターゲットが違うから、結果的に球がブレてしまう。そういうふうに僕は見たんだけどね。

 問題はその後、それでもまだ2ストロークか3ストロークか勝ってたはずなんだけど、やっぱりその後に考えることがもう勝ってないよね。もう並ばれてるというか、時間の問題じゃないかっていうのを、見てる者にも伝染するようなマイナスイメージしかなかったよね。

 今年タイガーもやはり7番で2アイアンでティーショット打って左の林に入れて、そこからはバンカーしか入れられないんだけど、最高のリカバリーをして、そこからバンカーショット最高だったけど、ボギー。ということで、あそこでまたムード的には嫌だったよね。

 で、その次の8番ホール。あの時にタイガーは確かアイアンを持ってたんだけど、僕の情報によると2アイアンだったんだ、セカンドが。いわゆるアゲンストの中2アイアン持って打ったらしいんだけど、あの時やっぱりタイガーも左にはずした。前の年のノーマンのように。

 ただし、タイガーはもっといいところで止まった運があったかも知れない。でもその運っていうのはなんだったんだろうっていうふうにもっと考えると、タイガーはあの2アイアンでやはりピンを狙ってたんだ。

 はた目にも分かるように、はた目の人間にもわかるほど、グリーンにしっかりと向いてたし、よしんばイーグルチャンスに、あわよくばイーグルチャンスにつけようっていう気持ちを持って、アドレスに入っていった。要するに気持ちとスイングターゲットが合ってるんだよね。だからひっかけはしたけれど、それがなんか結果的に運につながってるというのかな。それがノーマンとの差だと思うんだ。


(1997.9.6掲載)

タイガーのマスターズ攻略

 またノーマンの話だけど、ノーマンはやっぱり去年のオーガスタの8番でバーディ取りたい、バーディを取らなきゃいけない、このムードを拭いさるためにもバーディを取らなきゃいけない、っていうふうに思った時に、それでやや右目に打って、あわよくば乗って、あるいはパターを使えるところに行ってくれればバーディ取れるんじゃないか、というような考え方をノーマンはしてたと思うんだ。

 ただ、やっぱりちょっとそれと、その気持ちと、スイングターゲットっていうのかな、スイングのほうはもっとあせってたというか、もっとピンに寄ることを欲しがってたというかね。それがやっぱりちょっと誤算だったんじゃないかなと。

 ただピンの位置も若干違ったけどね。去年のノーマンのほうが今年のウッズよりも難しいピンの位置だったから、そんなに甘い感じではいかないけど、でも去年のピンの位置だったらますます右には打てないね。

 だから狙うとしたら、ストレートにピンを狙うほうが結果的に右目からと思うほうがフックで攻めるじゃない。そうするとそのフックが強くいった場合にはもう左にしか行かない。かえってあの状況の中ではストレートを打っていったほうがいいんだよね。

 そういえばタイガーは今年のマスターズでほとんどストレートとかフェードで攻めてったらしいけどね。13番14番みたいなところはスプーンでフック打っていったけど。でもそれ以外はほとんどストレート、フェードで攻めていったらしいね。タイガーは左に曲がるボールでマスターズを攻めてはいなかったね。左に曲がるボールで攻めたのは13と14だけ。あの2ホールだけだった。

 15番はむしろ、フェード気味のストレートっていうイメージで打っていったね。まあそれだけでも十分にショートアイアンで打てるほど飛んでいくからいいけど、普通の選手はやっぱりどうしても距離を若干のドローでランを使いたいから、右の傾斜を少し利用してドロー目で打ちたいっていう気持ちになるんだけど、タイガーは遥かそれ以上の飛距離を持ってるから、ストレートでもあるいはフェードでも右の斜面の向こう側を使えるからね。ダウンヒル側を使えるからもっともっと距離が出ていっちゃうっていうところがあるね。


(1997.9.7掲載)

どのぐらい飛距離が必要か

 今日は飛距離について話をしてみようか。ゴルフにおいて、どのぐらいの距離が必要かっていうと、個人的な差があるからね、平均的に何ヤードですっていう言葉は絶対にないと思う。

 じゃあ例えばプロの平均はどのぐらいですかって言われた場合に、全選手の平均はこのぐらいっていうふうには出せるけれども、やっぱりあくまでも個体差っていうか、個人別にっていうかね、個人個人違うから、全選手を平均すれば260〜270ヤードでしょう。あるいは270〜280ヤードでしょう、いや、そこまでいかないかな、っていう言葉になってくるけど、やはり雨、風、気温、それからその日の体調、調子、身長、体重、年齢、いろんな要素が入ってくると、何ヤードっていうふうに言えないと思うんだよね。

 ただ条件別に言うと、冬と夏では、だいたい僕らの距離で20ヤードは違ってくるね。冬のほうが飛ばなくなる。特にいちばん寒い時期と、暖かくて夏の晴れた時だと、30ヤードは余裕で違うね。

 それだけ違うとゴルフ自体もすごく変わってくるね。例えば冬場っていうのは150ヤードっていうのは7番アイアンで打つっていう感じで、だいたい回るんだけど、もっと寒い時は6番っていうイメージが出てくる。

 まあ基本的に冬場で7番で150ヤードとすると、だいたい20ヤードぐらい違うね。夏場になると170ヤードぐらいが7番っていうラインに入ってくるから、ドライバーで言っても、冬場では絶対に300ヤードは越えないね。よっぽど暖かい沖縄にでも行けば300ヤードっていうラインは出てくるけど、いちばん距離に関係してくるのは、温度と湿度じゃないかな。

 だから高温で、湿度が低ければ、1番手、例えば7番かな8番かなって思ったら8番で行くだろうし、逆に低音で湿度が多ければ、8番かな7番かななんて思ったらもうとにかく絶対7番じゃなきゃ無理だっていう答が出るよね。

 だからやっぱり飛距離というのは、温度と湿度が最大に影響してくるね。それが人間の体に及ぼす影響も大きいしね。


(1997.9.8掲載)

頭に五寸釘を打ち込まれたような

 TN87ね、今日来るんだ、今日。なんか今ワクワクしてるんだけどね。遠足前の子供みたいだわ(笑)

 今週はマッチに出てないんで、関東オープン見にいっちゃったよ。2日間。2日目と最終日と。

 この関東オープンの順位の上位20名までが日本オープン出られたんだ。で雅生は16番終わって3アンダーだった。最終日は4アンダーできてたんだ。で1アンダーでカウントバックで、2アンダーだったら楽勝に通ったのね。

 ところが17番、右のセミラフからグリーンをちょっとオーバー。カラーのところね。でボギー。18番、フェアウェイど真ん中。ナイスショット打って。で、セカンドがバンカー。でボギー。上がりボギーボギーなんだ。しかもカウントバックで、1アンダーで7人中6人通るんだけど、7番目。

 親としてね、ほんとね、頭に五寸釘を打ち込まれたようにね、放心状態になっちゃったよ。

 いやほんと今回はね、自他ともに認められる親ばかでいいと思ったんだ。ただ、彼のプレーを見て、彼自身が将来ね、もし重要なポイントになるようなことがあれば、いいアドバイスができるかなと思ったんだ。

 まあ2日間見たけど、プレーぶりが非常に大人になったね。大人って言ったら変だけど、成長の跡が出てる。1つ成長の跡っていうのは、忍耐だね。忍耐力が出てきたっていうことがいちばんだね。

 それからプレー全体に1球1球に対しての、恐怖心を持ってない。言い換えれば打つ前に失敗してないってこと。打つ前に自分はこのショットを成功させるんだ、成功させられるっていう、そういう確信を持ってアドレスに入ってくから、見てる者に対して、あぁ迷ってるな、あぁ不安を持ってるな、っていう感覚を抱かせない。これは大切なことだね。


(1997.9.9掲載)

一緒に出たかったな

 まあ、誰でもミスはするんだけどね。タイガーでも、あるいは世界のどんなプレーヤーでもミスショットはするんだけど、彼らの共通しているところっていうのは、打つ前にミスショットしてない。ところが下になればなるほどプロっていうのは打つ前に不安がってる。なんとなく失敗するんじゃないかっていうようなものを持ってるから、見てる人間にもわかるわけだよ。

 あぁ失敗しそうだな、あぁやっぱり失敗しちゃったか、って。でも強いプレーヤーになればなるほど、打つ前に失敗ということは考えられないんだよね。で結果的に失敗したとしても、あぁいまの失敗しちゃったね、でもそれはすぐ気分転換っていうか、すぐ次の1打に集中できて、すぐ次は成功するっていう気持ちでアドレスに入っていける。だから、雅生が恐怖心を持っていないように感じられたのはやっぱり大きな成長だね。

 雅生もいろんなところで勉強を重ねたり、あるいは父親の話っていうのを無駄にしてないっていうのかなぁ。そういう点では偉かったね。関東オープン最終日も立派だったんだよ、16番まではね。ただその2ホール。しいて言えば16番のパーもちょっと苦しいパーだったから、16番からなんだけど、残りの3ホールの締めくくりがヘタだったね。

 それはどういうことかっていうと、16番から、やはり上がりを気にした部分がちょっとあったかなと。だから20位までに入れば日本オープンに出れるとか、そういうようなこともあったんだろうね。

 いちばんショックだったのは本人だと思うけど、まあ父親と同じ17歳で日本オープンに出れる、だから20名までに入りたいっていう気持ちがそうさせたのかも知れないけど、もう1つ打ち抜けなかったというか、タッチを出し切れなかったというか、そういう感じがあったね。

 全体でいうと15なんだけどね。ベストアマもプレーオフらしくって、5ホールプレーをやって勝ったらしくて、まあベストアマに輝いたんだけどね。それはそれでまあよくやったと思うよ。

 ただ父親の願望としてはやっぱり、日本オープンに一緒に出たかったなっていう気持ちがあったね。まあこの悔しさを父親本人がはらすようにがんばりたいよね。


(1997.9.10掲載)

アプローチについて

 KBCの2日目の話なんだけど、アプローチショットがチップインが1個あって、あと随分入りそうなやつがあったんだ。アプローチでは取りこぼしはほとんどなかった。ジャンボも思わず「お見事」なんて言ってたけどね。

 ということで今日はアプローチに関して話をしてみよう。まあアプローチで、いい方法っていうのかな、例えばラフにボールがあるよね。ラフにボールがある時のアプローチとしては、まず浮いてるか浮いてないかを見て判断して、それでもし浮いていたら、クラブを短めに持って、普通に打つと。まあ多少ハンドファーストにして打たなきゃいけないんだけど。

 やや沈んでたら、バックスイングで手首のコックを意識して使って、早めにコックを使って上げて、クラブを鋭角的に上げていくと。で打ち出していく。そのほうがボールの出方がいいね。

 あとは逆目順目をよく見て、逆目だったらそれだけ食われるのが強いし、順目だったら食われるのが少ないから、距離感もそれに応じて、順目だったらやや小さく振ってあげる。逆目だったらややグリップをしっかり握って、強めに打ってあげる、ということかなぁ。

 それから、花道みたいな、ラフじゃないところにあるボールとか、ラフでもほんと浅いところっていうのは、意外といいのは逆オーバーラッピンググリップ。左手の人差し指を右手の小指の上に乗っけちゃう。要するにパターでよくやるグリップだね。あれをやるとけっこういいね。

 で、イメージとしてはアプローチとパターの中間的なイメージ。ややアプローチよりもパターのほうのイメージのほうがいいね。ただし腕は曲げない。距離感とかストローク自体はパターみたいに振ってく。ただし腕を曲げちゃうと、やっぱり振り幅がちょっと大きいし、腕の曲がりの伸び縮みでダフりトップが出るから、腕自体はちょっと伸ばし気味にしたほうがいいね。

 でストロークのスイングイメージっていうのかな、振るイメージはパッティングのイメージっていうのかな、ロングパットみたいな感じね。そうすると意外と球が素直にいってくれるっていうか。ただ、だいたいランニングアプローチに近いイメージだから、使うのは7番8番のクラブだろうね。

 こういう感じでアプローチをやるとけっこういいよ。KBCではずいぶん成功したからね。

 ただアプローチっていうのは基本的にはやっぱり練習だから、ゴルフ場にもし出た時には、たくさんの練習をやったほうがいいね。ただ、アプローチ禁止っていうグリーンが多いからね。だからアプローチ練習しろって言われてもなかなかできないんだけど、練習場でもその近くにバンカー練習場とかアプローチ練習場があったら、そこにいってまあグリーンの転がりはわからないにしてもね、打つ感じだけでも覚えたほうがいいかも知れないね。

 あとは転がしたい時にはフェースをかぶし気味にして、転がしたくない時には若干開いておくっていう感じかな。ちょっとかぶせるとフック回転がかかるから、球の転がりがよくなってくるよね。

 そのかわり、同じ8番でも、立てる場合と開く場合では、1割程度の誤差が出るから、例えば普通にまっすぐ打ったのを0とすると、開いたら-1割で、かぶせたら+1割の距離になる。だから距離感のイメージをずらしておかないといけないね。球足を長く使うのか、あるいは短く使うのかをね。


(1997.9.11掲載)

ダウンスイングの始動

 今日はタイガーのここをマネしてしてほしいっていうところを1つ。そうねアドバイスとして言ってみると、タイガーのいちばんいいところっていうのは、アドレスで作った体の角度っていうのかな、膝の角度、それから腰の角度、手首の角度、それから背骨と腰との角度、アングルね、このアングルが変わらない。その変わらない中でやや広めのスタンスから十分に上体をコイルして打ってく。これをやっぱり見習ってほしいかな。

 で、いちばんタイガーのスイングの中で難しいと思うのは、ダウンスイングでのあの加速度ね。加速するスピード。これなかなかできないと思うんだ、普通の人には。まあ普通の人っていうかプロでもできないと思うんだよね、僕らなんかでも。

 ただ普通のアマチュアの人があのアドレスを取り入れることができたとして、バックスイングもそのアングルを変えないでバックスイングが取れたとして、いちばん困るのはダウンスイングだと思うんだよね。

 ダウンスイングのそのスピードが出せないから、どうしても力むっていう動きが入ってくるんだよね。力みっていうのは非常によくないことで、スイングスピードを下げるっていう逆効果が出ちゃう。だから力めば力むほどクラブヘッドは走って来なくなるし、スピードが出なくなってくる。

 そうなると体の中で、例えば肘を曲げて腕だけ速く振ろうとしたり、あるいは足をバタつかせて振ったりとか、要するに体のアングルが全部変わってしまうという悪い影響が出てくる

 だからその時に1つ覚えて欲しいのは、うちの中でできる練習方法なんだけど、例えばバックスイング上げるよね、バックスイング上げたらトップの形になるよね。でそこで止めて、障子のある人は障子のところで、ドアがある人はドアのところで、左の腰、左のお尻でそのドアなり障子なりをポンっと押すイメージ。ポンっと押して、それからダウンスイングに入っていく。

 要するにそれをブッチ・ハーモンの言葉で言うとBumpって言うんだけど、まあ昔風な言葉で言えばウェートシフト、体重移動っていう言葉なんだけど、トップでほんの少し、腰で障子だったら障子を5センチぐらいポンっと動かす、ドアだったらドアでポッとはじいてあげる。そういう動きをうちの中で練習したらどうかな。

 これはクラブ持たなくてもできる練習だし、それでポンっと押せるようになったら、きれいにダウンスイングがスタートできるから。そうしたら後は思い切って打ち終わったら右の腰と右の肩が目標にターンしきるぐらいに回していくこと。

 これは、お年をめされた方はそれなりにそういうイメージを取り入れていただいて、若い人は思い切ってそのイメージを取り入れるという感じだね。腰からの始動というのをつかむのにその障子だとか扉、ドアね、これを利用した練習をちょっとするといいよ。

 ほんの一瞬ポンと押す感じがあればいい。それだけで10ヤードぐらい距離が出るからね。これはほんと理屈じゃないんだよね。言葉じゃなくて体感したほうがいい。やっぱりね、体の中に覚えさせるっていうのはリハーサルだから。リハーサルはしなきゃね。パソコンだっていっくら教えてもらったって、やっぱり使わなきゃ覚えられないのと一緒だね(苦笑)


(1997.9.12掲載)

2、3日目でスコア伸ばさないとね

 今週風邪引いてるんだよ。先週関東オープン見に行ったって言ったじゃない。どうも日曜日に鼻風邪もらっちゃったみたいでね。で薬飲みながらでね。ちょっと明け方喉痛いんだ。咳も出て。まあだいじょぶだいじょぶ。熱はたぶんないって感じだから。これから連戦になるわけだけど、まあ長年プロとしてやってきたわけだし、なんとかするよ。

 サントリーの初日はパープレー。いやぁ、怒涛のごとくバーディチャンスをはずした。スコアとしてはイーブンだと46位。トップは僕らが上がった時で6アンダーだったけど、最終的には7アンダーが出たみたい。

 直道君と、中村通選手と一緒に回って、中村選手も昔回ったきりで、久しぶりだねぇなんて言いながら回ったんだけどね。もう何年ぶりだろう、なんて言ってさ。たぶんここ2、3年は回ってないと思うんだけどね。ちゃんとシードを持ってても、そのぐらい一緒にならない選手がいるねぇ。直道君はなんか右手の手首が痛くって、そうとう苦しそうな感じだったけどね。よくはわからないけど、ほんとに痛そうだったよ。

 なんか週末は天気が悪いみたいだね。ということは2、3日目でうまくスコアを伸ばさないといけないねぇ。なんとか土曜日天気が崩れる前に伸ばさないとね。

 そういえばジャンボ杯のテレビ放送見たんだ。うーまいねぇ、みんな。特に上位の二人がねぇ(笑)

 いやもう、プロでもかなわないね、あんだけ簡単にやられると。たぶん普通のツアーのトーナメントに持ってきても、あの2日間で終わったら、たぶんあの二人はラスト前3組には入ってくるだろうね。たぶんプロの試合に持ってきたら、トップが14アンダーとしよう、で、13、12、12、11、11、10、で9って感じかなぁ。何勝手な計算してるんだろうねぇ(苦笑)

 まああれだけのゴルフしたら、あの二人中心の放送になっちゃうの仕方ないだろうね。ほんとにマッチレースだったし、なかなかいい試合だったね。随所におもしろいところもあったし。なんであんな遅い時間に放送するんだ、って感じだね。


(1997.9.13掲載)

休めってことなのかな?

 いやぁ、やっちまいましたぁ。もうね、今朝起きた時にやばいなと思ったのよ。もう完全に鼻が詰まっちゃって、左の耳がもうねぇ、ほら、耳がちょっと痛いっていう時あるじゃない、風邪引いた時に鼻の詰まり加減で。

 で、あぁこれちょっとやばいなと思ってはいたんだけど、まあだいじょうぶだろうと思ってやったんだけどね。結果はぜんぜんダメだったけどね。試合前は、予選は落ちないと思ってたんだけど(苦笑) KBCサントリーはどっちかというと苦手なコースなんだ。

 で、直道君も崩れちゃってるし、彼も、というか二人とも出だしから悪かったんだよね。で直道君も無理しないっていうか、まあ骨折してるからね。まあ、お互い休めっていう感じだったのかねぇ(苦笑)

 しかし直道君、つらそうだったよ。つらそうっていうか、おそらく左手だったらやめてると思うんだ。何カ月か休んでると思うんだよね。ただ右手の手首だから、いちばん負担をかけにくい、やればできてしまうような、そういうようなところだから、ちょっと無理したっていうか。来週の全日空は、全日空は機内放送の関係があるし、なんか25周年だし、出てくださいっていうことで、来週出るって言ってたね。

 いやぁしかし、あそこのコースははまるとはまる。悪いほうにはまるとね、ドーンとはまっちゃうね。まあパターがそもそも入らないことは入らないんだけど、初日33パットだったんだ。で2日目は34パットかな。要するにそれだけパター打つっていうことはそうとうパターが悪いっていう感じだね。

 で、2日目はパター換えてたんだ。初日あんまり入らなかったんで、まああんまりそういうことやっちゃいけないんだけどパター換えてみようと思って、ちょっと換えてみたんだけど、気持ち当たりが硬いんだよね、このパターって。もうちょっとやらかいパターのほうがよかったんだけど、その不安が的中したというか。

 2日目はちょっとティーショットもちょっとよくなかったのね、ところどころ。1番は風も強かったんだけど、右の林に入れて、そっからリカバリーうまくしてグリーンちょっとオーバー目まで持ってけたんだ。で、アプローチが思ったより寄らなかったのね。下りのスライスのアプローチだったんだけど。

 で、引き続き2メートル弱の下りのスライスのパットが残って、それをいいタッチで打ったんだけど、当たりが硬いから球が伸びてくれないんだ。でスライスラインで、入ったかなと思ったんだけど、右へふっと切れて、あぁちょっとこれは苦しむかなぁっていう感じがあったねぇ、この時点で。

 次の2番はパーで、3番のちょっと難しめのミドルなんだけど、まあ今日ちょっと風がフォロー目だったから楽だったけど、ここで3パットでボギー。ボギー・パー・ボギーの出だしだよね。

 で4番の池越えショートで、ティーショットうまく打って、バーディチャンスにつけたんだけど入らなくって・・・でまあずっとそんな感じでバーディ取れずに、アウト39で。

 インコースは、10番で短い、2メートル半ぐらいのパーパットはずして、11番でも短いのはずして、で12、13、14とパーでいって、15番、今度3パットのダボなんだよね。で17もはずしたし、18番の1個だけだった、バーディは。

 今週は杉原さんががんばってるんだよねぇ。そうするとまた中島・倉本は何やってんだって言われちゃうね。何やってんだって言われるのはつらいねぇ(苦笑)

 そういえばこのサントリーで、西遊記見てますって何人かに言われてね、うれしかったね。オン・ザ・グリーンの会議室の発言を見始めた頃はね、文字ばっかりだし、慣れてなかったこともあって、ちょっとつらかったんだけど、最近は発言にしても僕への電子メールにしても、読むのが非常に楽しみなんだ(笑)


(1997.9.14掲載)

チョベリグ〜ってやつです

 来た来た来た来た来た、来た来た、よかった、よかった。いいよ、うん。チョベリグ〜ってやつですよ。チョベリグです。けっこうね、ほんとによかった。あっ、もちろんクラブのことです(笑)

 ただ2番から7番アイアンまでが、0.5度アップライトだったから、それを修正したけどね。もう最っ高にいいよ。本当にTN87をそのまま大きくしたキャビティって感じでね、いいわ。

 こないだも書いたけど、ロフトがいままでより2度多いから、TN87で5番アイアンで27度で、今度のは29度。この2度の違いってのがね、飛距離にすると5ヤードぐらい違ってくるね。今の時期だと、TN87だとだいたい7番で170ヤード近くまで飛ぶんだ。今度の新しいアイアンだと165ヤードだね。そのへんがちょっとこう慣れるのにもうちょっとかかるかなと。PSとサンドも今週新しいやつに変わったんだ。

 で、サントリーの初日、ちょっとこういいショットだったんだけど、距離感がちょっと合わなかった。で結果的にいいところからバーディ取れなかったりしたんだけど、これが使い込んでくるとピタッとくるかなと。

 TN91とTN93に対しての質問が来てたね。ちょっとその2つに関しての話もしよう。TN87っていうのは基本的に自分の好きな形を追い求めた結果だったんだ。でTN91っていうのは、基本的に打球感にもっともっとこだわりを持っていったクラブ。もっと当たりをやらかく、でやらかくする上で同じ形じゃあつまらないんじゃないかっていうような、つまらないって言ったら変だけど、変化を持たせようっていうかな。そういうことをクラブデザイナーの人達とのやり取りの中で話をして、少し形状を変えたっていう感じかな。

 でTN93になった時に、やはり形状的にはやっぱりTN87のタイプの形状がいい、自分としてはTN87のほうが形状的には好きだと。だから、それとキャビティもデザイン的にね、あるいは機能的に納得できるキャビティにしよう、っていうことでその彫りにシャフトと平行になるように変化をつけたんだよね。そのほうがクラブヘッドのトゥ側の遅れっていうのが、少なくなってくる、っていうテストデータも出た。

 TN93っていうのはそういう、上から見たらTN87に近く、でもキャビティを取り入れたい。だからある意味ではTN93っていうのは、なんていうか和洋折衷じゃないけど、洋食懐石っていうのがいいのかなぁ、というような感じだったよね。同じようにTN87のキャビティというのが今度のクラブなんだけど、TN93とはね、やっぱり似て非なる物だね。今回のほうがいいねぇ。

 TN87は気に入ってるけど、結局TN87自体はやっぱり、振れる人間を限定しちゃう。要するにクラブ側が人間を選んじゃう。だからどうしても使えない人もいるし、許容範囲が狭いっていう感じなんだね。

 でも今度のクラブっていうのはもう、まったくそのTN87の外見上で、そしてフルキャビティにしようっていうことで、キャビティにする分を、使う人の幅を広げるっていう感じだね。基本的には中級者以上かな。やっぱり初心者の人には使ってもらえないね。

 だからいちばん上手じゃない下の人のラインとすれば、やっぱりハンデ18ぐらいからの人に使ってもらいたいなっていうクラブだね。でも、それより下の人が使ってると、そのぐらいのレベルになれるっていう感じもあるよ。

 決して難しいクラブじゃないし、しかもカーボンシャフトのほうもテストして、いいシャフトができたから、例えば力のない人もそれを装着すればいいし、あるいは自分はハンデ24だけど18まで遠いけどだいじょぶかな、っていう人にも、決して無理のない、それ使って練習してればうまくなりますよ、あるいはそれを使ってやってれば手になじんできますよ、っていうような、そういうような手応えを伝えてくれるクラブっていう感じだね。

 春先にテストしてたクラブよりは、使う人の幅は狭い。あのクラブはほんとにこうニューコンセプト、それこそ21世紀のクラブで、小中学生からもう大人から子供からレディースから全部使えるようなクラブっていうふうにがんばって作ったけど、やっぱりターゲットが広すぎたかなっていう(苦笑)

 そこまでは無理だったかなぁって、今考えるとそういう感じがするね。

 今度のクラブ、もう調整要らないねぇ。あとはもう打てばいい。商品?もういいね。そのままでもいいって感じだよ(笑)


(1997.9.15掲載)

スポーツ新聞と雑誌の連載

 サントリーオープンのプロアマでは、電通の成田さんと住友の大山さんと、それからモルツ球団の大沢監督が一緒だったんだ。大沢さんは年だけど元気だったね。すごいよ、若いギャルに囲まれてね、もうサイン攻めにあってニッコニコだったよ(笑)

 来週はまあ食べ物はおいしいし、土地柄として北海道は好きなところだから、なんとか行ってねぇ、がんばりたいと思ってるんだけど。とにかく風邪早く直さないと。

 その来週の全日空青木さんが出るらしいね。まあたまには出てきて欲しいよね、向こうのシニアばかりじゃなくて。やっぱり元気な姿を見せて欲しいよね。ここのところ、せいぜいフェニックスとなんかもう1試合ぐらいだもんね。

 青木さん、どういうゴルフしてくれるんだろうね。今年は確か2位が5回だったよね。惜しいねぇ。やっぱりね東スポ見るのがつまんないんだよね。ほら、青木さん勝つと東スポは大きく扱ってくれるじゃない。

 東京スポーツってけっこうゴルフに対しては、なんていうかしっかり伝えるっていうか。まあ、夕刊紙だから、東スポらしさっていうのもあるけど、けっこういいポイント捉えてるなっていうのがある。東スポは必見だね。

 他のスポーツ新聞っていうのは、自分のところに関係あるものは伝えるけど、それ以外はベタ記事みたいな感じのところが多いね。ベタ記事じゃやっぱり伝わらないしねぇ。他だとサンケイも比較的ゴルフはしっかり出すけどね。

 あれじゃやっぱりスポーツ新聞もいけないよね。ゴルフやってる人っていうのは一千万人以上いるわけだから、それ考えるとスポーツ新聞ももう少しがんばって欲しいと思うんだ。

 そういえば新聞じゃないんだけど、雑誌でやってた誌上練正館、もうやめようってことで最終回になった。はっきりいってやるほうが飽きちゃったっていうか、飽きたっていう言い方は変なんだけど、新鮮さがなくなっちゃったっていうかな。だからもう少し自分でやりたい物が出るまで、休みましょうっていう感じだね。

 あれは僕が一言二言言ったことを編集部のほうで編集して書いてたんだ。読者のハガキとかも、僕は直接見せてもらったことはないんだ。編集部にいってそこで止まって、編集部で処理するんじゃないかな。

 レッスンなんかでも、こういう問題はどうやったらいいんですかって聞くだけで、誰々さんからこういう質問がきてますっていうんじゃないんだよね。例えばスライス出る人はどうやったらいいんですかねぇ、って言われるんで、スライスする人はこういう練習したほうがいいんじゃないの、って答えてそれを編集部のほうで書いてくと。そういう点では自分でも責任を持ちにくくなったっていう部分があるかな。

 雑誌なんかでのああいったコラムは、今はやるつもりはないんだ。ちょっとやっぱりそういう点では充電したいっていうか。今は西遊記もあるし、それで十分っていう気もするんだ。


(1997.9.16掲載)

イップスの解消

 先週の予選落ちについて冷静に分析してみると、やはりパターで、気持ちがなんていうか後ろ向きになってしまうというところがあったね。

 やっぱりパターがいいと、気持ちを前向きに持っていけて、よしこれを取って次に進めよう、っていうふうになってくるんだけど、逆に悪いとどうしても、あっ今のもったいなかったよなとか、あるいはそれが度重なってくると、チャンスについても、あぁあれやっぱりはずしちゃうのかなぁ、なんとか入れたいなぁとか、そういう感じになるじゃない。だからどうしても気持ちが後ろ向きになってしまうということがパットにはあるね。

 ただ考え方だと思うけど、今年の春先はもう手が動かない手が動かない、手が震えてしょうがないっていう状況だったから、ほんとイップスだったからねぇ。だからそういうところから考えると、今は手はちゃんと動いてるんだ。

 手は動いてて入らないっていう状況だから、そういう点ではなんていうか打開策は残ってて、パットとは違うショットでの段階で策ができるから、まだいいかなっていうふうに思ってる。どっちにしてもはやいところこれをね、決められるようにしていくことが大事なことだなぁっていうふうには思うんだけどね。

 手帳っていうか日記つけてるんだけど、今年1年を振り返って見ても、ほとんどがやっぱりパターで、ショットの時では右足の問題だね。ショットにしてもパットにしてもやはりほんとによくはなってきてるんだよね。

 去年のちょうど夏ぐらいっていうのは、もうほんとにティーグラウンドから100ヤード先の池とか谷とかそういう物も怖かったし、上りのたかだか50センチ60センチのパットも怖かった。下りのちょっとスライスがくるとほっとしてた。

 そういう状況だったからもう、ゴルフを続けていけるんだろうか?っていう、そういう不安あるいは、競技生活を続けていけるんだろうか?っていう不安が大きかったんだよね。

 パターなんかでも、たったさっきまで試合をやってきて18番終わって、手が動かなかったなぁって思いながらパッティンググリーンに行ったらすっと動く。もうほんとにそんなことがあるの?っていう感じで手が動く、気持ちよく。で練習して次の日コースに行ったら、また同じように手が動かない。でホールアウトしてまた練習グリーンに行ったら動く。

 これはまあ普通には、イップスっていうのは精神的なもんだっていうけど、じゃあ精神的なもんだとしたら、どうしてそういう精神状態になってしまったのか。それを解明すれば、出口が見つかるわけだよね。それでそれを解明して、出口を見つけて、イップスを解消できてきたんだ。


(1997.9.17掲載)

出口から抜けるのは……

 パットは昨日書いた通り、精神状態の解明でイップスを解消できてきたんだけど、ショットに関しては、やっぱり肉体的な変化っていうのが非常に大きいんだよね。

 精神的な問題以上に、まあ誰でもそうだけど、年を取ってくると体が固くなったり、関節の可動域が狭くなって、あるいは肉もついてくる、とまあ、いろんな肉体的な変化があるよね。でその中でも、膝の部分にだけどうしてそういうことが出るのか。その膝っていうのは膝直接の問題なのか、それとも膝に現れる問題なのか

 例えば痛風っていうのは、よく足の親指とかに出るけど、足の骨に尿酸結晶っていう、とげみたいな結晶がつくわけだよね。それが神経を刺激して痛いんだけど、じゃあその足が痛い、それが痛風だって言われても、その足の痛い尿酸結晶ができる元があるわけだよね。ということは、その元を直さないと、その元を治療しないと、その痛みはほんとには取れないよね。

 だから、例えばその痛いところを冷やしたり、マッサージしたり、あるいは痛み止めを塗ったり、いろんなことをやったってダメなわけじゃない。やっぱり飲み薬を飲んで、尿酸値を下げる薬を飲んで、あるいは尿酸値を安定させる薬を飲んで、痛風を抑えていく。

 それと同じように膝に出るというのは、じゃあその膝自体にいくら薬を塗っても、あるいは注射をしても、何をしてもちょっと無理じゃないかと。結局は膝に出るっていうことは、膝じゃなくて、他の部分の問題ではないかと考えて取り組んできたわけ。

 それで取り組んできたんだけど、結局一番の元だったのは、足を去年捻挫して、捻挫しながら3カ月試合をやって、体重を左に乗せられない。その恐さの中でスイングが固まってしまった。そういう物が引き金にはなってたと思うんだ。

 でも体重が左に移らないだけでほんとに右膝の問題が出てくるんだろうか。もっと違う部分で、左の捻挫以外に問題点はないのか。そういった時に、ビデオを見てチェックしたり、分解写真を見たり、そして自分のもっと若い時の写真を見たり、あるいは違う選手のスイングを見たりしてて、あるポイントでひらめく物があったんだ。

 それが今年のサンコーグランドサマー、あの時にほんとにその右膝の問題ってのは、ここからきてるんじゃないかっていう、要するにパターのイップスの出口が見えた時みたいな、ショットに関して言えば、ここがポイントだったんじゃないかっていうのが見つかったんだ。それでその見つかったことを直して、直してっていうか改善して打つようになったら、けっこうね、ボール自体が生き生きと飛ぶようになってきた。

 だからKBCの時にジャンボが言ってたよね。トミーは強い球・速い球は打てるけど、重い球がまだ打てない、っていうことを彼は言ってたんだけど、やはり強い球・速い球を打てるっていうことに、逆に言えばビックリしたんじゃないかなって思う。

 だから、思ったより強い球を打ってる、速い球を打ってる、距離もそこそこきてる、ほぉ〜、っていうふうに思ったんだろうけど、ただ、その強い球・速い球じゃなくて、ほんとの意味で重い球を打ち切れてない。そこがまだだなっていうふうなことを新聞で言ってたんだ。

 それは、その出口は見えたけど、出口から抜け切ってない、だから、ほんとの意味で重い球が打ててない、というふうに僕は思うんだけどね。出口が見えたっていうのは大きいことなんだけど、出口から抜けるっていうことはもっともっとたいへんなことだよね。


(1997.9.18掲載)

これでいいの?

 先週、中村八大さんっていう、「上を向いて歩こう」を作曲した人に関するテレビ番組を見てたんだけど、それを見てて、なんか自分に似てるなぁっていうふうに思ったんだよね。

 中村さんの小さい時、お姉さんのピアノの横に座って、ピアノをちょこっといじってたんだけど、それを父親が見て、あっこの子にピアノをやらしてみようっていうことでピアノを買ってあげた。

 で中国の大陸の青島っていうそこに住んでたんだけど、ピアノを買い与えて、ピアノで人生歩んでいくんだけど、その時に日本に留学したり、日本の芸大にね留学してた時に、戦争が起こって、また青島に戻った。

 その戻った時に、先生となる人の音楽に、自分が本当に感動してしまうんだ。その先生は、ドイツ系のユダヤ人で、逃げてきてたんだけど、中国のほうに避難してきて、そのピアノを教えてたんだけど、教えてたっていうか中村さんがそこで習ったんだけど、それに感動して、中村さんはピアノで生きてくっていうことを誓うんだ。

 僕もね、ゴルフ、まあ違う環境だけど、ゴルフに接して、親が熱心だとか、親が好きだとかいうんじゃなくて、一生の仕事として巡り会ったっていう部分があるんだ。惹かれるっていうのかな。あるいは取り憑かれるっていうのか。両方がこう、なんていうかある力でくっついちゃうっていうのかな。そういうもんがあるんだよね。

 だからおそらく中村さんもピアノっていう物に魅せられて、惹かれて、取り憑かれたのかも知れないよね。自分もやっぱりゴルフっていう物に、言葉には表せない惹かれ方をしてるんだよね。

 で、それで小さい時に、なぜか知らないけどゴルフだけは苦もなく練習できたし、クラブを持ってることが好きだったし、ボールを打つことが好きだったし、もう練習しろって言われることなし練習しててね、もう自分からなんだよね。それはやっぱり死ぬまで変わらない気持ちだと思うんだ。

 だから、昨日の話だけど、出口が見えて、出口にたどり着こうとする中で、もっともっといろんなことが勉強させられるかも知れないし、得ることができるかも知れない。

 やっぱり中学・高校そしてプロになって、ある意味ではこう苦労のない時代っていうのかな、要するに好きなことを好きなように、そしてまた好きなような結果が出てくる。楽しいだけになってくるんだけど、やっぱり40になって、こう振り返ってみた時に、自分のゴルフ人生って、これでいいの?っていうこう疑問符がつくっていうのかなぁ。

 これでほんとに、その問われてるっていうのかな、改めて振り返って、いままでこういうふうにゴルフをやってきて、こういうふうな成果を出してきた。それは譜面っていうかな、メニューみたいな物に書き写せば、満足できるもんだと思うんだ。子供で始めた時からいろんなことを並べればね。

 そういういろんな成績も並べればそういうふうになると思うんだ。でも、そこに非常になんていうかこう虚しさ、虚しさっていうんじゃないなぁ。なんか、求めていた物はそれなの?っていうか、振り返った時にいいの?って言われた時に、いやこれで100%僕はいいですよ、って言える物がまだないんだよね。


(1997.9.19掲載)

全日空初日レポート

 全日空オープンで北海道に来てます。しかし北海道らしくない天気だね。初日は北海道らしかったけどね、風がちょっとあって。もう火曜の午後から雨で、プロアマもひどかったし、また2日目も雨だってねぇ。

 初日のラウンドは、なんだか疲れたねぇ。インから出てって、10番バーディ取って、11、12番パーパーで13番でバーディ取って、2アンダーになったんだ。

 14はアゲンストで、右に池があって、ちょっといやらしいホールなんだ。まあそんなの普通に打てばいいんだけどね。でティーショットが左のヤーデージの木の根元にいっちゃって、まあ出して、ボギーになった。

 で次の15が右のラフからフライヤーすると思ったんだけどしなくて、で花道に止まって、これも簡単に寄せられるアプローチだったんだけど、失敗してボギー

 16、17番でチャンスが取れなくて、18番がボギーなんだ。フェアウェイ真ん中からセカンド打って、花道からのアプローチが寄せきれないでボギー。で1オーバーになっちゃって、なんで2アンダーだったのに1オーバーになっちゃうんだろうなぁって思って、まあ、午後のアウトコースはがんばろうと。

 アウトの1でスプーンで打ったのがフェアウェイ突き抜けちゃったんだ。火曜日水曜日とアゲンストだったから、ついついこう、ちょっと左ドッグレッグなんだけど、狙うポイントがずれてるんだよね。今日はフォローだったから、まったく違うところ狙わなきゃいけないんだけど、まあスプーンだからいいだろうと、ちょっとこう安全目に狙ったのが逆にそれが飛びすぎて突き抜けてしまった。

 で林の中なんだけどうまく出して、また花道まで持ってったの。で花道から、寄せとしては難しくないアプローチなんだけど、寄せきれずにボギーで、2オーバーになって、あぁぁ〜、って感じ。

 2番でバーディチャンスの1メートル7、80センチのやつはずして・・・取れないわけよ。やばいなぁ、パターも入らないしなぁ。3のショートは、奧から5メートルぐらいのスライスラインのパットをクロスハンドで打って、入って、バーディ取った。

 4番はパー。5のロング右ドッグレッグの池越えなんだけど、フェアウェイ中央から、3番アイアンでグリーン狙って、ちょっと弱かったんだ。風の読み違いだったかも知れないけどね。で弱くて、アプローチはまた花道からの20ヤードぐらいのアプローチで、1メートル半ぐらいショートだった。でそれはずして、あれぇ〜?って感じで、クロスハンドダメだぁ、って感じ。

 次の6番はうまくパーで逃げて、7番もパーで、8がショートホールなんだ。230ヤードぐらいなんだけど、ちょっと左からフォローでね、3番アイアンで打って右5メートルぐらいにのっけて、ここは普通のグリップだったんだけど、入ってバーディで、よかったぁイーブンパーになった、でもイーブンパー以上はダメだぞと。

 9は左OBなんだけどね、やっぱりちょっと嫌がったっていうか、右のラフに入れて、そこからグリーンの手前まで持ってって、で5メートルぐらいのパット入れてバーディ。なんとかフィニッシュがバーディバーディで、あぁよかった、なんとか1アンダーになった、だけどなんか疲れたラウンドだったなぁ、って感じだね。

 しかし1アンダーにずらっと並んでるねぇ。もうね、吹き溜まりみたいにいるよ。

 初日は、なんかどっちにでもいきそうだったね。崩れるか持ち直すかね。結局自分でブレーキかけちゃったところがあったね、14番15番で。ただ風向きによっては14番は、例えば初日のピンの位置と初日の風だと、あんまりバーディホールでもなかったね。まあパーで普通かなっていう感じだね。

 他の選手を見ると、ジャンボが14番終わって2アンダーになったんじゃなかったかな。インスタートで、14番で2アンダーになって、15番と17、18番でボギーだったみたいだね。インコース37だったから。最終的にはイーブンだったみたい。

 青木さんがあまりよくなかったみたい。やっぱりいくらアメリカといえども、シニアだからねぇ、日本も若手とか伸びてきたし、やっぱりこう、ちょっととまどったんじゃないかなぁ。久しぶりの輪厚だったしね。でも明日からまたがんばってくれるんじゃないかな。ただ、向こうのシニアって予選落ちがないじゃない。だからその予選っていう物に対してのプレッシャーってのが今回あるんじゃないかな。

 初日のトップは飯合プロイーグルを2つ取ったらしいよ。5番ロングイーグル、9番ロングイーグルだって。大喜びしてたよ。あっそういえば倉本2アンダーだったね。ショットよくなったのかな。


(1997.9.20掲載)

うわー、参りましたぁ〜

 今週のパターニューポート使ってるんだ、キャメロンの。フェイスに銅板が入ってるやつね。

 予選2日間、一緒に回ったのは、細川ニック・プライスなんだけど、しかしプライスも調子悪いね。まず第一番はパターだね。やっぱりいくらプライスといえどもパターが入らないと苦しいねぇ。上りの5メートル以内のやつなんか、球の回転がいい時のプライスとぜんぜん違うんだよね。しっかり行かないっていう感じ。

 プライスは今L型のパターのボビーグレースのやつを使ってるんだけど、パターは悪かったね。ショットもひっかかるやつが何回かあったしね。ティーショットはうまかったけど。でもやっぱりイライライライラしながら回ってたっていう感じだね。

 そういえば、初日のプライスのショットで、感心したショットが1つあったんだ。14番と4番ホール。アゲンストのちょっと狭いホールなんだけど、普通はドライバーか、2アイアンかっていう選手が日本選手だと多いんだよね。アゲンストの狭いホールで、スプーン持つっていう選手はなかなかいないんだけど、プライスはその2つともスプーンでいい球打っていったね。

 やっぱりアゲンストっていうのは球が曲がりやすいし、ましてスプーンだと吹かれやすいからね。ふっと吹かれて、吹き上がっていっちゃうことがあるから、やっぱりなかなかその中でコントロールするボールって難しいんだけど、プライスはその2つともいい球を打っていったね。

 で、プライスは、手首を使わない、それでまた無理に叩かない。その2つに関してはきれいにスイングしてったっていうかね。あれは立派だったね。感心した。思わず、うわー参りましたぁ〜っていう感じのショット打っていったね。

 そこからのセカンドは14番はだいじょぶだったけど、4番ホールは失敗したけどね。いやぁ、でもほんとに、あの2つのアゲンストの中でのショットはうまかったねぇ。


(1997.9.21掲載)

幸せだった。

 100%いいですよって言える物がないっていう話をしたけど、それがあるから出口に行けないんじゃないかっていう気もするんだ。自分が出口に立った時っていうのは、単にスコアがよくなった、成績がよくなった、勝てるようになった、だから、はい出口ですよ、マスコミのみなさんは、はい復活ですよ、よかったですねぇ、っていうような、そういう物じゃないと思うんだよね。

 出口に立った時、まったく違う価値観を持って、ゴルフをできる喜びというか、あるいは自分がこうゴルフによって生かされてきた実感を、得ることができるっていうのかな。その人がそこにいるだけで、あっ、この人はほんとにゴルフによって充たされてる人なんだな、っていう、そういう何かが自分に得られないと、出口を出た時に、なんか違うなっていう気がするんだよね。

 僕の人生を振り返ってみて・・・中学の時に父親と一緒に電車に乗って、桐生から前橋まで行って、そこからまた乗り換えてゴルフに行ったんだけど、キャディバッグ持ってね。で、電車の中も座らないんだ。立ったまま、こう揺れに対してね、アドレスを作って、揺れる中で反射神経だとか、安定感を養うんだとか、そういう楽しい想い出を作りながらゴルフをしてきた。あるいは、スパイクを履いて、昔はロッカーでは履き換えなかったから、カチャカチャカチャカチャ町中をスパイクで歩いてゴルフに行った。

 ゴルフ場に行っても食堂でご飯食べないで、土手に座ってお茶とおにぎりを食べて、途中でおにぎり食べながらお茶を飲んで、そのなんていうか、遊びに来てるんじゃないんだっていうような中でやった時のほうが、なんていうか尊かったっていうのかな。

 やっぱりあの時、振り返ってみればあの時幸せだったな。父親と一緒にゴルフに行ってた時が幸せだったな。うん、あの時が幸せだった。

 もう雷がどんどん落ちてる中で、親父に怒られながら練習したよな、びしょぬれになりながら練習したな、そういう時が、今以上に尊かったなっていう気がする。

 だから振り返ってみても、そういう時代を生きて、そういう時を自分が持ってきたことがうれしいし、逆にこれから先の出口をせっかく見つけたのに、その出口に立った時に、なんか価値観が同じまんまで出てったら、成長がねぇ、はい高校3年で卒業しました、うーんよかったですね、っていうんじゃなくて、高校2年で中退しちゃったような、そのまま出ちゃったようなそんな気がするんだ。

 例えば、これでじゃあ、来年日本オープン勝ったりとか、何々で勝ちましたってなると、おそらくそこにはまあ復活だ、あるいは新生だ、っていうふうに言われるかも知れないけど、そうじゃなくて、その時、その場に立った時にね、やっぱりまったく違う価値観を持った中島でいたい、あるいはそうなりたいっていうのかなぁ。

 言い換えれば、本当の自分自身の発見になるんだろうね。自分自身の発見って言うと、まるで自分だけの問題みたいに言葉としてはなるけど、ほんとはそうじゃなくて、自分自身が、ゴルフによって生かされてるその自分自身を発見するというかな。

 そうするとやっぱり人生全体に対して、感謝の念というか、逆に言えば、ほんとの意味で自分の人生に感謝してるのか、となると、100%の素直さを持って考えて見れば、自分は人生に感謝してない。だからやっぱり不幸なんだろうね。

 自分の人生に感謝できたら、感謝、素直にありがとう、うれしいっていう気持ちが表せる人生だったら、幸せなんだと思うんだけどね。


(1997.9.22掲載)

イップスは直ったか?

 いやぁ、やることは多い。なかなかね、結果出ないからね。

 今回は3日目4日目がねぇ、うん、懸念してた右足、右膝、やっぱまた少し出てきたかなぁ。膝の悪い動きがね。やっぱり返す返すも去年の捻挫の時に無理して3カ月やったのが、ほんとに今考えると後悔の種だねぇ。やっぱりあれから体重が左に移らなくなったからねぇ。

 まあ、イップスも直ったんだし、なんか考えるよ。右膝をしばって練習するとか(笑)、両足をドラム缶の中に入れてセメント漬けにしてスイング練習するとか(笑)、まあなんか考える。何か絶対に方法はあるはずだし。

 一昨日も書いたけど、パターはスコットキャメロンのタイトリストのニューポート使ってたんだ。普通の35インチの長さにしてみて、イップスが直ってるかなっていうふうにチェックしてみたかったんだ。

 やはり長いパター使うとボールに対して遠くなったり、そのボールが目の真下からあまりにもかけ離れるよね。目の真下でなきゃいけないってことはないんだけど、目の真下からまあボール1個とか、せいぜい2個ぐらい前だったらいいんだけど、36インチ半のパター使ってると、やっぱり目の下からボールが4つも5つも離れていっちゃうわけだ。

 そうするとまっすぐのラインというのが、なかなかこうまっすぐ見えにくくなってくるというか、やはり標準的な35インチとか、そういうパターのほうが、ラインの狂いが少なくなってくる。だからそういうの試してみたいなっていうのと、ほんとにイップスは直ったのかなっていうのもちょっとあったんだ。

 サントリーオープンでほら悪かったでしょ(苦笑) でまあパターを換えたいっていうことで、その換えたいっていう意識その物よりも、そろそろいいんじゃないかっていう意識のほうが強かったんだけど、それにはやっぱりいいパター、自分で納得するパターが必要だっていうことで、東京まで買いに行って、10本とか20本とかいう数の中から選んだんだけどね。それでプレーしてみたんだ。

 最終日の15番で2メートルの上りのパットを沈めることができて、あっ、手の震えっていうのはもう1度も出てないなと。ほんとに手の震えではずしたのはないんだ。イップスではずしたのはない

 ほんのちょっと弱い、ラインに対してちょっと弱いから下にはずれたりっていうような、そういうのはあったよ。でもこれは自信を回復してくれば、どんどんどんどん球がいくようになるから、いままでカップのふちでふっと切れてたのが、入るようになってくると思うんだよね。


(1997.9.23掲載)

強気の攻め

 今回は横田初優勝。うれしいだろうね。横田はほんと日本プロでね、目真っ赤にして負けちゃったからねぇ。あの時は、どうしたらいいんですかねぇなんていう話も何回かしたけどね。

 でもまあ、要するに自分のゴルフを貫いていって負けたら仕方ないんだと。相手を見て、相手のゴルフに合わせてると、つらいばっかりだから、自分のゴルフを貫いていけばいいんじゃないかぁなんていう話をしたことがあったね、日本プロの後に。

 そういえば、3日目の夜にね、すすき野に飲みに来てたよ。でも最近の若手の偉いところっていうのは、あんまりお酒を飲まない。要するにまあ、自分なんかも今はそうだけど、みんな清涼飲料水だよね。ウーロン茶とか。でもまあ、ウーロン茶でよくまああそこまで盛り上がれるなぁって思うんだけどね(笑)

 最終日を見ると、けっこう強気に攻めてた。まあ若い時の初優勝っていうのはああだよね。自分もやっぱりそうだったけど、なんでそんなに強気にいくんだっていう感じでね。

 僕は21歳の時にツアーに初めて参加して、その年美津濃新人勝って、それから兵庫県であったヤングライオンズに勝って、それで10月のゴルフダイジェストに勝ったんだけど、そのゴルフダイジェストの時に、最終日に15ホールぐらいピン奧に攻めていったんだよね。

 15ホールピンの奧に攻めていって、雨の降ってるすごい中だったけど、結局周りから見れば、もっと手前手前から攻めればいいじゃないかっていうふうに思うかも知れないけど、自分にとってはそれが一番安全みたいな、一番やりやすかったような、そういう記憶があるね。

 だからやっぱり、若いうちは攻めだし、やっぱりベテランになってくると今度は守りが入って、攻守両方なんだろうね。打撃戦になるか投手戦になるかっていうそんなふうな感じじゃないのかな。

 16番のショートなんかでも、普通あの時点で2ストロークとかそういう差があったりすると、やっぱり真ん中目、左からのパットを残して、っていうふうにベテランだったら考えるよね。

 おそらく、本人もそういう気持ちはあるんだろうけど、結果としてピンに向ってっちゃうっていう、そういうゴルフなのかな。

 だからこないだも話したけど、ノーマンのマスターズは違って、ノーマンの場合はあの時、体はピンのほう向くんだけど、気持ちはピンの左なんだ。で、横田の場合は体はピンの左なんだけど、気持ちがピンに向いてるわけだ。

 でも逆のパターンよりはいいよね。体はピンを向いて、気持ちはピンよりも安全なほうにってなると、やっぱりカット打ちになったりして、球が右にいっちゃうような、そんなような現象が起きるからね。


(1997.9.24掲載)

トッププレーヤーでいること

 最終日に、コース回りながらいろいろ考えたけど、あのジャック・ニクラスでさえも、全米アマチュア選手権から考えると、最後のメジャー、マスターズ勝ったのが確か46歳だったよね。それを見ると、およそ27年間トッププロであり続けたわけだよね。トッププロというか、トッププレーヤーであり続けた計算になるよね。

 で、ジャンボが初優勝した日本プロって確か24歳だったと思うんだ。その24歳から今ちょうど50歳、26年間、トッププロであり続けたよね。好不調はあって、スランプはあったけど、全体として見れば、結局今日までトッププロで26年間あり続けた

 の場合っていうと、18歳で日本アマに勝ったんだけど、18歳からいくとちょうど今で25年間。ニクラスが27年間で、ジャンボが26年間で、僕が25年間。そう考えた時に、1つの目安として20年トッププレーヤーであり続けるっていうのは、これはすごいことなんだなっていうふうに思ったね。

 だって青木さんが日本ツアーで最初に勝ったのが関東プロかな。関東プロで勝って、日本のツアー、シニアは別にしてね、ツアーと呼ばれる試合で勝ったのがやはり20年弱でしょ。およそ20年だね。

 そうなってくると、じゃあ他は誰がいるんだろうって考えた場合に、やっぱり10年保たない選手がほとんどなんだ。10年間トッププロであり続ける、あるいは10年間トッププレーヤーであり続ける。

 結果的に見て、それは人間だから好不調はあるけれど、それだけの長い年数をがんばれる選手っていうのは、少ないんだなぁっていうのは、実感としてわかる。計算して出してごらん。ほんとに少ないから。

 だから今活躍している若手が、1つ勝つのは僕は当然だと思うの。あれだけ最近よくやってる若手達なんだから、やっぱりあれだけの才能を持って、その時代に適応したスイング、クラブ、あるいはあらゆる面でマッチした選手が勝たないほうがおかしいよね。だから勝つのは当たり前なんだ。

 でも、その勝ったことから、自分がものすごい長いスパンで考えた時に、短い選手生命で終わらないように、さらに努力してったほうがいいよね。努力っていうのは言い換えれば、勝ちたいっていう目標に向って、貪欲にいける選手でいてほしいなっていうふうに思うんだけどね。

 だから今回勝った横田にしても、ほんとおめでとうっていう気持ちと、それからもう1つはほんとに息の長い選手になるんだぞっていう両方の気持ちがあるね。


(1997.9.25掲載)

パーだからいいってもんじゃ……

 こないだ言ったように、イップスっていうのは直ってきたっていう確信みたいな物は出てきたんだけど、ショットのほうの右膝の問題が、イップスを直した時のような、確信がないんだ。

 イップスっていうのはこうやってなってくるんだ、だからこことここと注意して、こういうふうに直していこう、要するに原因、それから、結果、それからもう1つ処方箋、みたいなものがはっきりとできたんだ。イップスの時はね。

 だから直ったんだけど、その右膝の問題に関しては、どうしてそうなるか、そして本当にどうしてそうなって、そういう結果が出て、じゃあ処方箋はどういうふうにしたらいいんだ、そういう時にはどうしたらいいんだ、っていうこう、確固たる順序づけができてなかったんだよね。

 ここのところ、試合の4日間通じて、その右膝が1発もジャマをしなかったことっていうのは、サンコーで少しよくなったんだけど、サンコー以降でもやっぱりいくつか出てることは出てたんだ。1日に1回とか2回とか、そういうレベルで出てたんだけど、まあそんなに気にならないレベルではいたんだけど、やはりここにきて、全日空ではほんとにそれは感じたね。

 全日空の最終日の15、16、18番と、代表的な例があったんだ。15番フェアウェイのいいとこへティーショット打ったんだ。ど真ん中にね。で残り150ヤード弱で、7番アイアン持ったのね。左からちょっとアゲンストで。で7番で低めにちょっと抑えて打とうという計算で、アドレスに入って、バックスイング上げた途端に右膝がむくむくっとこう悪い動きをしたわけだ。

 でハーフシャンクでグリーンの右へはずしちゃったのね。そういうことっていうのは、ほんとはあり得ないミスでなきゃおかしいんだよね。でもそれが出ちゃう。あぁ、また出ちゃったなぁ、やっぱりここんとこちょっと少し出てたから、いやぁいやな心配が当たっちゃったかなぁっていうのがあったの。

 でセカンドを右にはずしてアプローチで2メートルぐらいかなぁ、寄せて、まあなんとかパーを拾えたんだけど、16番のショートでピンが右の真ん中ぐらいに切ってあった。右端ぎりぎりに。そこを5番アイアンで打ったのね。

 5番アイアンっていうのはおそらくあのショートホールでは、ほとんどの選手が使うクラブの代表的なクラブだと思うんだけどね。5、6、まあ中には4っていう人もいるだろうけど、基本的に5番ぐらいで打つショートホールなんだけど、アゲンストが吹いてて、そこで完全に右膝がとんでもない動きをして、シャンクしたんだ。でサブグリーンの手前。そこからアプローチをしたんだけど、まあそんなに簡単に寄るライじゃなくて、まあ右にはずしちゃったらねぇ、サブグリーンのほうまで来ちゃったらなかなかね。でボギーなんだ。

 17番はパーで、18番がフェアウェイの真ん中に打って、ピンまで125ヤードぐらいだったかな。ピッチングウェッジ持ったのね。でバックスイング上げて、やっぱり出たんだよね。要するに3ホール連続みたいなもんだよ、出たのが。

 そうなってくると、右膝が出てくると、結局正しいウェートシフト、正しいクラブの使い方ができないから、もうダフらないとか、そういう一点に気持ちはなっちゃうんだよね。だからダフるまい、あるいは、シャンクするまい、そういう気持ちしかないから、距離のコントロールだとか、方向のコントロールだとか、そういうことっていうのは二の次三の次になっちゃう。

 で結局ピッチングで打ったボールが、奧のバンカーにキャリーしちゃったんだ。まあ結果的にはそれを寄せてパーを取れたけど、でも結果的にパーが取れたからっていいっていう問題じゃないよね。


(1997.9.26掲載)

答は見つける!

 今週はまずまずですよ。初日は1アンダー。でも今週ずっと雨みたいなんだよね。

 また足の話になるだけどね、今週の頭に言ったように、やることがいっぱいあるって言ったのはその足の問題をなんとかしないといけないなっていう気持ちが非常に強いんだ。

 だからほんとに、半分強制的に右足に石膏かなんかでこう固めて、右足の右膝のところをテーピングでぐるぐる巻きにして、やってみようかな、とかさ、そういう気持ちもあるんだ。きちんとならない物は、もう強制的にでもやって直してみようかな、とかね。

 こないだ子供達とそんな話をしながら、まあ技術的な話とか、いろんな話をしてたんだけど、1つにはフックボールを打てば多少は直るんだ。フックボールを打てば多少は直ってくるんだけど、でも、全ホールフックで攻めるわけにはいかないじゃない。

 あるホールはまっすぐがいい、基本的にはまっすぐがいいんだけど、またはフェードがいいというホールを、要するにそれを全部フック、ドローの強めで攻めるとなったら、スコアにならないよね。これは予選落ちが目に見えてる。

 今のレベルっていうのは、みんなもうパープレーとか1オーバーとか、そういうレベル以上いったらもう予選は通らないからね。だからそれでもあえて覚悟で右からフックで打っていくか、それとも足を縄で縛って、練習するか。今そういうような考えで頭の中がいっぱいなんだ。

 この右足は、決して疲れて、要するに終盤だけ出るっていうことじゃないんだ。先週だって2番ホールで出たり、1番のティーショットで出たりしたんだ。

 もう1つ大事なことっていうのは、なぜそうなったか、要するに原因としては左足の捻挫っていうのは考えられる。その中で3カ月やったから、そういう悪い癖がついちゃった。でもそれはなんていうか、自分の中で100点の答じゃないのね。

 その辺をもう少しちょっとこう、自分でいろいろ考えてる最中っていうかな。ほんとくじけそうになるよ。くじけそうになっちゃう、ほんとに。でもくじけちゃったらもう何にもないわけだし、何にもないって言ったら変だけど。くじけたら楽しみないもんね。なんとか答を見つける。

 イップスだって直ったんだからね。ほんとに先週はうれしかった。手の震えっていうのが、まあ震えだけは少なくともなくなってくれたなぁと。


(1997.9.27掲載)

グリップの仕方

 今日はちょっとカラオケで歌っててね。泊まってるホテルにカラオケルームがあって、そこを貸し切りみたいな感じで。まあ別に10曲ぐらい歌うだけだけどね。歌う曲? いろいろだね。どれって感じじゃないね。もう何から何まで歌うよ。童謡からね、演歌から、民謡から・・・民謡は歌えないなぁ、童謡から演歌までかなぁ。一番得意なのは・・・なんでもだね(笑) こればっかりは聴かないとわからないだろうね。

 ずいぶん前になるけど、グリップに関してのメールがきてたね。基本的には、グリップは好きなように握ればいいんだよ。好きなようにって言ったら、これは本当に間違いかも知れない、語弊があるかも知れないけど、やはりテキストに載ってるように、グリップをやはり鏡に向って、あるいはテキストブックと並べてグリップ作りの練習をするっていうことだね。オーバーラップでもインターロックでもどっちでもいい。

 いちばんのポイントとしては左手はややパーム。パームっていうのは手のひらで握る。親指の腹はシャフトの真上。で、左手の親指と人差し指のV字は右の耳と右の肩の間を差してればいい。

 右手はというと、その左手に沿って素直に持てばいい。左手の親指がジャマになった場合は、すこーしフィンガーにすればいいし、逆に右手と左手の間に親指と右手の腹の間に隙間ができてしまうようだったら、右手をもう少しフィンガーからパームにしていけばいいし。

 ただし、右手のV字も左手のV字も右の耳と右の肩の間を指すっていうのが基本だろうね。右の肩でももちろんいい。その辺は個人差があるからね。

 体が非力でもバネがある人っていうのはその間で十分だし。どちらかというと右肩まで差したほうが自分はストレートボールが打ちやすいって言うんだったら、右肩でいいし。自分はそこまで持っていくとどうもフィーリングが消えてしまう、もうちょっとウィークのほうが握りやすいっていうんだったらV字は右の肩と右の耳の間がいいだろうね。

 僕の場合、ウィークに握ったりというのは、若干そういうコントロールもするけど、その時々の、時々っていうのは毎日毎日のっていうことではなくて、半年とか3カ月とか、最低でも1カ月のことを言ってるんだけど、自分のグリップを直したい時っていうのは直すね。

 それはどっかにやっぱり違和感があるから、その違和感を取りたいっていうことから発生してくるんだけど。基本的には僕はそれほどストロングじゃなくて、どちらかというとスクエアなほうだね。


(1997.9.28掲載)

ゴルフとGolf

 しっかし・・・あのスーパーおじさんはほんとに・・・(苦笑)

 こないだジャンボと一緒に回った時に思ったんだけど、あの佐野木さんとジャンボのかけあいを見てるとね、佐野木さんがキャディをしてなかったら勝てなかった試合っていうのはたくさんあると思うんだよね。僕はそう思う。

 ジャンボは、キャディは誰でもいいっていうふうには思ってないと思う。要するにエースキャディって言われるように、やっぱり佐野木さんを必要としてるようなところがあると思うんだよね。

 ただ、それっていうのは、ある意味で考えてみると、プロゴルファーっていうのは個人でしょ、基本的には。確かにキャディとの名コンビというのはあっても、そのキャディと触れ合う場所っていうのはゴルフコースだよね。ゴルフコース以外ではそんなに触れ合わないよね。

 でも、ジャンボと佐野木さん見てると、もうそれこそ兄弟みたいな感じを受ける時すらあるよね。そのぐらいお互いがお互いをバランスよく支えてるというか。特に佐野木さんがジャンボを支えてるわけだけど。

 例えばこういうふうにちょっと思ったんだけど、野球の日本シリーズで優勝したチームがその次の年、アメリカのメジャーリーグに行って、戦って優勝できるかっていったら、これ無理だと思うんだ。

 それはなぜかっていうと、やっぱり攻守、要するに守ったり投げたり走ったり、あるいは打ったり、こういうすべての物で言うと、やはりメジャーリーグで活躍できるとしたらピッチャーだと思うんだよね。全体になったら、これは歯が立たないと思うんだ。

 そう考えると、それと同じようにあの二人がチームみたいに見えちゃって、じゃあアメリカ行った時に、なんかこう個人っていうのかな、例えば日本にアーニー・エルスが来る、あるいはノーマンが来る、というような雰囲気じゃないんだよね。だから、あぁ、チームの弱さになっちゃうのかな、っていう気もするんだ。

 例えばクラブ作りにしたって、クラブのフォローにしたって、あそこまで海外ではフォローしてくれるわけじゃない。パター1本、シャフト1本、グリップ1本、何にしたってやっぱりいいかげんだから、向こうは。そうなってくると日本にいる時みたいなフォローはしてくれない。

 言い換えればチーム全体としては戦えなくなっちゃうわけだよね、向こう行ったら。やっぱり個人の力で、個人でがんばらなきゃいけなくなると。

 そうなってくると日本っていうのは、よくアメリカの人がBaseballと野球は違うって言うけど、同じようにカタカナのゴルフとGolfとは違うっていうふうになってくるのかなぁなんて思ったりしたんだ。


(1997.9.29掲載)

タイガーの深層心理

 来年のシーズンオフは、オーストラリアのオーストラリアンマスターズと、その前のグレッグ・ノーマン・トーナメントっていうのがあるんだけど、この2つに出る予定してるんだ。オーストラリアの人からメールもらってるフォードオープンは、行きたいんだけどねぇ、日程的に今のところなんとも返事をしがたいって感じだね。

 話は変わるけど、サントリーオープンの時にビジェイ・シンと話をしたんだ。最近どうだぁって言ったら、まあまあ、なんて言ってたね。ついでに、最近タイガーどうなの、相変わらず飛ばしてるの、って聞いたら、ちょっとタイガー振り過ぎてるなぁって言ってた。ちょっと振り過ぎて、球が曲がってるから、ちょっと手こずってるっていう話だね。

 やっぱりなんていうかな、最初プロに入ってきた時には、そんなに世間がね、タイガーがそこまで飛ばすとは思ってなかったと思うんだ。でもマスターズの映像でわかるように伝説的な飛ばし屋になっちゃてるよね、今。

 それでジョン・デーリーよりも飛ぶっていうふうな話になっちゃって、本人は今までは、飛ばす必要性のあるホールでは飛ばしてたけど、あるいは飛んじゃう物はしょうがない、っていうふうに振ってたと思うんだ。

 ところがそうじゃなくて、飛ばさなくてもいいのに飛ばさなきゃとか、飛んじゃう物はしょうがないじゃなくて、飛ばさなきゃしょうがないんだ、っていうふうになっちゃったと思うんだよね。だからビジェイ・シンが言うように、やっぱり振り過ぎ気味だろうなぁっていうふうに思うね。

 21、2歳の子供じゃ、子供って言ったらおかしいな、青年じゃあちょっと深層心理まではね、コントロールするのは無理だと思うんだ。ほんとに深いところの意識が、どんなにギャラリーが求めてることであろうと、必要のあるホールでは叩く、必要のないホールでは叩かない、とはなってないと思うのね。

 しかし悲しいかな、彼は100億とかね、そういう普通の人では手に入らないような巨額なお金を手にしてるっていうことは、逆に言えばプロっていうのは、見せる商売なわけだから、そういう、人にできないことをするわけだから、そこまでのお金がもらえるわけじゃない。

 人と同じような考え方をしてるプロなんていったら、はたしてそこまでお金が出てくるのか。そう考えると、タイガーとしても、自分は他のプロとできることが、やるべきことが違うんだっていう意識を持っちゃってるのかも知れないね。


(1997.9.30掲載)

タッチがよくなってきた

 ライダーカップおもしろかったねぇ。ブラッド・ファクソンが17番ではずした段階で勝負は決まっちゃったけどね。すっごい難しいコースだったね。なんか狭くて、ラフがティフトンみたいで、ティフトンとなんか混ざってるんだろうけどね、なんか普通のベント芝のラフじゃないっていう感じだった。ちょっとねじくれてて、難しそうだったよ。コース自体も難しそうだったけどね。

 ジュンクラシックは、ジャンボがいくかなぁって思ったけどねぇ。どたどたっと15番と18番でやっちゃったね。小達も惜しかったね。せっかく前半スコア伸ばしたんだけどねぇ

 17がね、今年はひどーく長くなったんだ。ひどくっていう言葉が合ってるのか合ってないのかわからないけど。20ヤードぐらい、20ヤードはオーバーかな、15、6ヤードティーグラウンドが後ろに下がって、だいたい僕らがナイスショットして、そうだなぁ、雨の日だったら3番アイアン、晴れてて5番ぐらいかな。3日目は6番だったけど、だいたい6番なんて考えられないぐらいだったね。

 18のティーグラウンドも下がったんだ。昔はスプーンで浮島を狙い打ちっていう感じだったんだけど、今はドライバー使っても突き抜けて向こうの池まで行くっていうことはないんだよね。だからドライバーで打つか、スプーンでちょっと強くね、スプーンでフルショットして打つかどっちかだね。どっちをチョイスするかっていう感じだね。

 最終日はアゲてたこともあって、届いてない人がいたね。あの手前のバンカーを越えるのに、265ヤードぐらいあるんじゃないかな、キャリーで。っていうことはフェアウェイまでだと、270以上キャリーで打たないと越えてこないんだから。

 エレラがバンカーに入れてたけど、たぶん振り切れてなかったんだろうね、プレッシャーで。でもジャンボはフェアウェイなのにディボット。どこがいいかわかんないよね、ほんと。バンカーでもライがよくて、土手が高くなかったら、バンカーのほうがよっぽどディボットよりいいね。

 そういった点で、ジャンボはなんとなく今回運がなかったっていうのか、そういうところもあるね。

 僕はというと、最終日は6バーディ取って、2アンダー。相変わらずちょっとボギーが多いね。でもねパターがね、先週の全日空から35インチのパターに戻せるようになったんだけど、ジュンでも35インチでずっと通してできた。だいぶタッチがね、少しずつよくなってきたね。

 やっぱりたくさんバーディ取れるっていうのは、それだけ自分自身に自信が出てくるっていうのかな。やっぱり自分のずいぶんアドレスの間違ってたところってのも直るようになってきたしね。なかなか直せないことが多かったけれども、ようやくいい感じに直せてきたね。