内緒のお部屋


あれ? 見つけちゃいました? ここのことは主人には内緒ですよ(笑) by R.N

(感想、はげましのおたよりは練正館ホームページで受け付けています)

←「内緒のおたより」(1999.9.11)


(1999.10.7掲載)

マスターズ金曜日・13番で13打

 マスターズ2日目、彼は予選に通過するために全力で戦ったはずです。頑張って12番まで1バーディー2ボギー、トータル1オーバーできていたそうです。しかし、13番ホールのパー5の第1打を左にフックさせ、木に当たり、彼のボールはクリークに落ちてしまいました。1ペナを払ってドロップをし、そこからグリーン手前のクリークから残すところ80メートルまで運びました。

 4打目となるアプローチ、彼はグリーン手前ぎりぎりに切ってあるピンを狙わなくてはパーは取れないのです。ピンを狙った彼のボールは悲しくもクリークの草むらの中へ入ってしまいました。「1ペナを払ってドロップするか、そのまま打つか」の競技委員の問いに若い彼は「もう1ペナは払えない」そんな思いで強攻策を選び、果敢に攻めたのでした。しかし、ボールは2メートル程上に飛び、クリークに逆戻り、競技委員の「ボールに気をつけろ!!」と叫んだ声も虚しく動いているボールは彼の右シューズに無惨にも当たり、2打罰となってしまったのでした。

 そんな不運はそれだけでは終らず、自制心を失った若者はクラブでクリークの淵を叩き付けたのでした。しかし、このクリークはクラブをソールしてはならないはハザード、その反則でまたしても2打罰となってしまい、結局13番ホールを6オン2パット5打罰の13打というスコアーになってしまったのでした。

 最終ホールをバーディーで終ったものの、13番で1ホール8オーバーになり2日目・80というスコアーで予選落ちをしてしまったのでした。日本トリオはその年みな予選を通過できず、オーガスタを後にしたのでした。

 しかし、地元の新聞は金曜日に13番で13打叩いた日本から来た若者を大きく取り上げていたのでした。キリスト教国アメリカでは13は不吉な番号であり、金曜日はイエス様が十字架にかかられた日ということで悪い日であると思われていたのです。そのマスターズの金曜日に13番ホールの13打、しかも、マスターズのこれまでの1ホール最多打記録であった8番の12打を43年ぶりに記録更新していしまい、13番の13打が記録集のアンビリーバブルの項に載ることが決定したからなのです。外国記者団からは「彼は初挑戦で記録を作ったのだからいいじゃぁないか」という慰めがあったそうです。

 初めての彼の夢のマスターズはそのような想い出深い幕開けとなりました。

 しかし、83年2度目のマスターズに招待され、わたしも同行した時には、魔女の住むあのアーメンコーナーの11番から15番まで5連続バーディーを取り、当時の記録になったのでした。

 これは、成長した常幸さんへ、神様からのご褒美だったのでしょうね。


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